再婚すると遺族年金はどうなる?種類・家族・予定を確認する

死別後に再婚を考えるとき、先に知っておきたい制度上の決まりがあります。

配偶者として受けている遺族年金は、本人の婚姻(内縁関係を含む)により、受ける権利を失います。 日本年金機構の結婚や養子縁組をしたときの手続き案内に示されている扱いです。

ただし、これを「自分や家族の年金が全部なくなる」と読んではいけません。自分の老齢年金、配偶者として受ける遺族年金、子自身が受ける年金は、分けて確かめる必要があります。

ここでは50〜70代で死別後の再婚を考えている方に向けて、手元の書類や家族の状況を、年金事務所等に尋ねるための材料にしていきます。制度の説明は2026年10月8日に確認した公式案内に基づきます。個別の受給可否・額や、内縁関係に当たるかどうかは、本人の事情を担当窓口に伝えて確認してください。

最初に、誰の、何という年金かを確かめる

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。故人の年金加入状況などに応じて一方または両方が対象となり、受け取る遺族にも条件があります。まずは日本年金機構の遺族年金の案内で、二つの制度があることを押さえます。

手元の資料は、亡くなった方の年金、自分の老齢年金、自分の遺族年金、子自身の年金をひとまとめにせず、該当するものだけを受ける人と種類ごとに分けてみてください。「夫の年金」「家に入る年金」という呼び方だけでは、どの給付を指すのか曖昧になります。

すでに受給している人は、証書と新しい通知書を見比べる

まず、書類に書かれた年金の名称と、誰の年金についての書類かを確認します。年金証書では、基礎年金番号の欄の次にある「年金コード」も手掛かりになります。日本年金機構の年金コードの説明によると、年金の種類を4桁の数字で表すものです。

手元の書類 確かめるところ
年金証書 年金の種類と年金コード
年金額改定通知書 改定後の年金額(年額)
年金振込通知書 1回ごとの支払額

年金額改定通知書の案内にある「合計年金額」は年額です。一方、年金振込通知書の案内にある「年金支払額」は、1回に支払われる控除前の額を指します。年額と1回の支払額を同じものとして比べないようにします。

二枚の書類を分けて見比べる手元のイラスト

年金の種類や書類同士の対応が分からなければ、通帳の入金総額から内訳を推測せず、そのまま「種類・内訳が分からない」とメモに残してください。書類の名称や対象の年月も添えると、窓口でどの紙を見ているのか説明できます。

まだ請求していない・受給できるか調べている人は、そこから伝える

この場合は、「現在受け取っている年金の変更」とは相談の出発点が違います。「まだ請求していない」「請求の手続き中」「受給できるかから調べている」のうち、実際の状況を伝えます。

故人の死亡日、加入していた制度、故人との続柄、亡くなった当時と現在の自分の年齢・家族状況を、分かる範囲で整理します。制度や加入歴が分からないところは空欄でも構いません。他人の受給例を自分に当てはめるのではなく、手元の資料で何を確認できるかを尋ねるところから始めます。

子の有無だけでなく、年齢と受給者を確認する

遺族基礎年金の対象は、亡くなった方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。ここでいう子は婚姻していないことに加え、次のいずれかの条件に当てはまる必要があります。

  • 18歳になった年度の3月31日までにある。
  • 20歳未満で、障害年金の障害等級1級または2級の状態にある。

日本年金機構の遺族年金の案内と遺族基礎年金の受給対象者で確認できる条件です。たとえば30代の子がいることは、それだけでこの「子のある配偶者」に該当する根拠にはなりません。

書類を分けてファイルへ整理する女性のイラスト

また、親が受ける年金の子の加算と、子自身が受給権者となる年金は別に扱います。子自身に受ける権利があっても、実際の支給には条件があります。現行の遺族基礎年金では、子のある配偶者が受給している間や、子と生計を同じくする父または母がいる間は、子には支給されないと案内されています。

「親が再婚すれば、その分は子が受け取れる」と一括して考えず、子の生年月日、婚姻の有無、該当する場合の障害状態、誰と生計を同じくしているかを確認材料にします。子自身の年金の書類がある場合は、親の書類と分けて相談してください。

自分の年齢と老齢年金も、確認材料になる

遺族厚生年金は、対象となる遺族の優先順位や、配偶者の年齢などにも条件があります。まだ受給可否を調べている人は、現在の年齢だけでなく、配偶者が亡くなった当時の年齢も伝えられるようにします。

すでに自分の老齢年金を受けている人は、その種類も確認してください。65歳以上で遺族厚生年金と自身の老齢厚生年金の両方の受給権がある場合、自身の老齢厚生年金に相当する額が遺族厚生年金から支給停止される調整があります。詳しくは、日本年金機構の遺族厚生年金の案内に記載されています。

椅子に座って手元の書類を読み直す女性のイラスト

そのため、今の振込総額が、そのまま再婚で失う遺族年金の額とは限りません。 「自分の老齢年金も受けている」「遺族年金との調整があるか分からない」と伝え、どの給付がどう変わるのかを分けて尋ねます。

暮らしの見通しを考えるためには、現在働いているか、これから退職などの予定があるかも、自分用のメモに添えられます。ただし、年齢や収入だけで再婚後の支給額を計算したことにはしません。

婚姻や暮らしの変更は、「予定」と「すでにしたこと」を分ける

婚姻による失権には内縁関係も含まれるため、「婚姻届はまだ出していない」という説明だけで、年金の扱いを決めることはできません。一方で、交際していること、同居していること、住所が別であることのどれか一つだけで、この記事から内縁かどうかを判定することもしません。

相談前のメモには、婚姻届を出す予定時期、同居を始めたか・これから始めるのか、生活費の分担など、実際の暮らしと予定を書き分けます。日付が決まっていなければ「未定」で構いません。自分で認定結果を出すためではなく、窓口に事実を伝えるための整理です。

暮らしの予定を整理するためのノートと書類ファイルのイラスト

すでに変更があった人は、メモの完成を待たずに連絡する

日本年金機構は、失権の事由に該当した日から、遺族基礎年金は14日以内、遺族厚生年金は10日以内に「遺族年金失権届」を提出するよう案内しています。提出先は年金事務所または街角の年金相談センターです。根拠は結婚や養子縁組をしたときの手続き案内で確認できます。

これは届出の期限であり、「届け出るまで権利が続く」という意味ではありません。すでに婚姻や暮らしの変更があった人は、その内容と日付を早めに窓口へ伝え、失権に該当する日や必要な届出・書類を確認してください。自分では内縁に当たるか分からない場合も、その不明点を含めて相談します。

2028年の見直しと、再婚による失権は別に読む

遺族厚生年金の見直しを含む法律は2025年6月13日に成立し、この見直しは2028年4月施行予定と案内されています。厚生労働省の遺族厚生年金の見直しについてでは、すでに遺族厚生年金を受給している人、60歳以降に受給権が発生する人などは、今回の見直しの影響を受けないと説明されています。

したがって、「2028年から、受給中の人も全員5年で終わる」という理解は正確ではありません。ただし、「今回の見直しの影響を受けない」ことは、婚姻による失権の免除を意味しません。

公式ページの更新日と、制度が変わる施行時期は別です。将来の予定について相談するときも、「再婚に伴う扱い」と「制度見直しの対象になるか」を分けて尋ねます。

確認できた事実を、窓口への質問にする

ここまでの内容は、分かる範囲で一枚のメモに整理できます。これは相談で説明しやすくするための自分用メモで、正式な申請書でも、全員に必要な提出書類の一覧でもありません。

相談で尋ねたいことをノートに書く手元のイラスト

次は、夫と死別した67歳の女性を想定した記入例です。実際の受給事例や窓口の回答ではありません。

メモの記入例

年金の書類で確認したこと:自分が受給者の遺族厚生年金と、老齢基礎・老齢厚生年金を受給中。年金証書と新しい通知書で、種類を照合した。

家族と暮らし:現在67歳。夫が亡くなったときは62歳。子は36歳で別居している。自分は一人暮らしで、現在は働いていない。

今後の予定:相手と再婚の話をしているが、婚姻届を出す日も同居開始日も未定。まだ同居しておらず、生活費も分担していない。

まだ分からないこと:再婚後に受け取る年金の内訳と額。必要な届出と、その届出に記す日付。

この例の年金や家族構成を、自分に当てはめる必要はありません。書類で確認できたことと自分の記憶・予定を区別し、種類が分からない場合は「不明」、まだ手続き中なら「手続き中」と書きます。

窓口で尋ねる文例

先ほどの受給中の人なら、最初は相談の目的を短く伝えます。

「遺族厚生年金を受けています。再婚後の年金について相談したいです」

現在の年金や予定を聞かれたら、メモを見ながら続けます。

「自分の老齢基礎・老齢厚生年金も受けています。婚姻届を出す日はまだ未定です。婚姻で遺族厚生年金の権利を失うとき、受け取る年金と必要な届出について教えてください」

日付がまだ決まっていない場合は、今確認できることと、決まってから改めて確かめることを分けて聞きます。まだ窓口で確認していない額を、確定した生活費として予定に組み込まないようにします。

まだ請求していない人の問い合わせ文例は、別になります。

「配偶者と死別し、遺族年金を請求できるか調べています。再婚も考えていますが、まず私が受け取れる年金と、確認に必要な情報を知りたいです。手元の資料で、どこから確かめればよいでしょうか」

相談の準備に使うファイルとバッグのイラスト

相談に持っていく書類は、公式案内で別に確認する

日本年金機構の窓口での年金相談のご案内では、本人確認書類の原本と、基礎年金番号が分かる書類などを案内しています。家族などが代わりに相談する場合は、代理人の本人確認や代理権を確認する書類も必要です。相談先や予約の案内も同じページから確認できます。

この相談準備と、遺族年金の新規請求や失権届に必要な提出書類は同じ一覧ではありません。手元の証書・通知書と相談内容を伝え、今回の手続きに何が必要かを確かめてください。

個人番号・基礎年金番号・年金証書の画像は、このサイトやAIチャットへ送らないでください。番号のある書類は自分で保管し、公式窓口で必要とされる方法に従って提示します。

最初から制度のすべてを理解しなくても、「この書類は誰の何という年金か」「この予定で何が変わるのか」が、窓口に持っていける質問になります。分からない箇所を、手元の書類と一緒に窓口で確かめてみてください。