死別後に再婚を勧められたら|「そろそろ」への短い返し方

「そろそろ次の人を」と言われても、再婚したいか、いつ誰かに会いたいかまで、その場で答えを出す必要はありません。まずは今言えることを短く返し、話したくないことは詳しく説明せずにおく言い方があります。

配偶者を亡くした60代の方に向けて、家族や知人への返事を場面別に紹介します。以下の場面・文例は、説明のために作成した例です。

最初の返事は、今の希望に合う一言を選ぶ

一度勧められたときの返事は、今の自分に近いものから選べます。まだ決めていない人と、今は望んでいない人とでは、伝えたいことが違います。

まだ、誰かと付き合いたいかも決めていない

「今は、誰かと付き合うかどうかも決めていないんです」

「いつなら考えられる?」と聞かれても、時期を決めていなければ、「いつ考えるかも、今は決めていません」と続けられます。「そのうち紹介してね」まで足すと、望んでいるかも決まっていない紹介を頼む言葉になります。

今は、新しい交際や再婚を望んでいない

「今は、新しくお付き合いすることも、再婚も望んでいません」

再婚しないと決めている人なら、「再婚するつもりはありません」と言い切る形もあります。自分の意思に合わない「今は」や「まだ」を、やわらげるためだけに付けなくてもかまいません。

人との交流は望むが、再婚は決めていない

会話を楽しむ相手はほしいけれど、恋愛は望んでいない場合の文例です。

「気軽に話せる友人はほしいです。恋愛は今は考えていませんし、再婚も決めていません」

交際には関心があり、再婚するかは決めていない場合は、希望を小さくせずに伝えます。

「誰かとお付き合いしたい気持ちはあります。でも、再婚するかは別に考えたいです」

相手の気遣いがうれしいなら、最初に「気にかけてくれてありがとう」を添えられます。感謝が今の気持ちに合わないときは、返事だけにしてもよいでしょう。

知人に自分の希望を短く伝える対面場面のイメージ

「もう十分時間がたった」「故人も喜ぶ」と言われたら

死別からどれだけ時間がたったかを持ち出されたときは、年数で言い返すより、今の自分が決めたいことへ話を戻す言い方があります。

「もう十分時間がたったでしょう」と言われ、まだ時期を決めたくない場合。

「何年たったかではなく、私が考えたくなったときに考えたいんです」

これは「その時が必ず来る」という約束ではありません。「では来年なら?」と続いても、予定していなければ年や月を答えずにおけます。

「亡くなった人も喜ぶよ」と言われた場合は、故人の気持ちを推測して反論する代わりに、こう返す方法もあります。

「今は、あの人がどう思うかより、私がどうしたいかを考えたいんです」

一方で、「次の人」という呼び方そのものがつらいなら、再婚の希望を説明する前に、その言葉について伝えられます。

「『次の人』という言い方は、私にはつらいので、やめてほしいです」

詳しい理由は話したい部分だけ話す。話したくない、まだ決められないなら今は話さずにおけ、断る理由をすべて説明しなくてもよい。
図はタップ・クリックで拡大できます。

話したいことがあれば、その部分だけを選んで話せます。理由をさらに聞かれても、話したいのが今の返事だけなら、「気持ちの詳しいところは、今は話さずにおきたいです」で止められます。故人との暮らしや最期の様子を語って、断る理由を証明する必要はありません。

この返し方で相手が納得するかは別ですが、何を話さないかまで相手の納得に合わせて決めなくてもよいのです。

お礼を言ったあと、紹介が進みそうになったら

妻を亡くして一人で暮らす、68歳の義彦さんを想定した例です。週末に訪ねてきた妹から、玄関先で「そろそろ次の人を考えてもいいんじゃない」と言われ、「気にかけてくれてありがとう」とだけ返しました。義彦さんは、交際も再婚もまだ決めていません。

後日、妹から「知り合いに写真を送っておくね」と連絡が届きます。義彦さんはスマートフォンを持ったまま、返す言葉を考えています。紹介を頼んだつもりはありません。

スマートフォンを手に、妹に返す言葉を考える男性のイメージ

この場面で妹へ送るなら、例えば次のような文になります。

「この前は、気にかけてくれたことにお礼を言ったんだ。紹介は頼んでいないから、写真は送らないでほしい」

お礼を伝えたことと、紹介を頼んだことは別です。 お礼を取り消す説明ではなく、今、進めないでほしいことを伝えます。

候補を探し始めそうな相手には、「再婚相手は探さないでください」。連絡先を渡そうとしている相手には、「私の連絡先は、渡さないでください」と、実際に持ち出されたことに合わせて言えます。

「会うだけだから」と勧められても、今回は紹介を受けたくないなら、「会うだけでも、今回は紹介を受けません」と返せます。まだ決めていないことを、相手に候補を探して待ってもらう依頼にする必要はありません。

義彦さんが文を用意しただけなら、妹にはまだ伝わっていません。送ったあとも、返事がなければ、写真を送らないという依頼を受け入れたかは未確認です。すでに送ったと言われた場合は、誰に送ったのかを確かめ、これ以上は渡さないでほしいと伝えることになります。送った文の丁寧さだけで、その後の行動まで決まるわけではありません。

何度も勧められるときは、会話を終える言葉を持つ

会うたびに「そろそろ」と言われるのが負担なら、毎回、新しい理由を探す代わりに、やめてほしい話題を具体的に伝えられます。

「会うたびに再婚を勧められるのは、負担です。私にその話をするのは、やめてほしいです」

紹介の話も止めたい場合は、「紹介の話も持ってこないでください」と付け足します。反対に、負担なのが「次の人」という言い方だけなら、交友関係の話をすべて断る文へ広げる必要はありません。

「あなたのためを思っているのに」と言われたとき、気遣いは受け取りつつ、話題を終えたい場合の文例です。

「心配してくれていることは分かりました。それでも、再婚の話はここで終えたいです」

そこからも勧めが続き、もう話したくないなら、電話では「この話が続くので、今日は電話を切ります」と伝えて切る選択があります。対面なら「この話は続けません。少し席を外します」と言って離れる方法もあります。

対面の会話から席を外す場面のイメージ

会話を終えるために、相手の賛成を待つ必要はありません。 何度もやわらかい返事を試してから、という順番も必要ありません。その場の負担に合う言葉を選びます。

暮らしを心配されたら、相談したいことだけ選ぶ

「一人で具合が悪くなったらどうするの」と実際に心配されたとき、その話はしたいと思うなら、再婚への返事とは別に具体的な相談を出せます。一人暮らしの場合の、家族への文例です。

「再婚の話はいったん終えて、具合が悪いときに誰に連絡するかを、一緒に考えてほしいです」

住まいのことなら、今の家で困っていることを一つ話す。日々の支えのことなら、どんな用事で助けが必要なのかを話す。周囲に「心配ない」と言ってもらうために、暮らしの問題を全部解決してから断ろうとする必要はありません。

相談を持ちかけた段階では、相手が連絡を受ける役を引き受けたわけでもありません。何を頼めるかは、改めて話し合います。住まいや体調への心配を聞くことも、その場で詳しく答えることも、再婚を断るための条件にはしません。

次に使いたい一文だけ、手元に残す

準備するなら、伝える相手と、その人に今言いたい一文を選びます。理由を尋ねられたときの補足は、必要な場合だけ添える形です。今日は言葉を考えるのも負担なら、準備をしないで終えてもかまいません。

伝える相手と今言いたい一文を選び、望まない約束を足していないか確かめる。準備したことと伝えたことは別で、今日は準備しなくてもよい。
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義彦さんが返事の文を用意し、まだ妹へ送っていない場合の、自分用メモの記入例です。送信用ではありません。

  • 相手:写真を送ろうとしている妹。
  • 今伝えること:紹介は頼んでいないので、写真は送らないでほしい。
  • まだ決めていないこと:交際や再婚を望むか、いつ考えるか。
  • 今の状態:返事の文を用意した。まだ送っていない。

声にしてみたときに、自分なら言わないと感じる言葉は、ふだんの言い方へ直せます。ただし、「写真は送らないでほしい」を「写真はまた今度ね」に変えると、後日の提供を望んでいるような文になります。やわらかさより先に、頼んでいない約束が増えていないかを見直してみてください。

周囲への返事とは別に、故人への思いと誰かに会いたい気持ちを考えたいときは、亡き配偶者への思いと、誘いへの返事を考える記事でも、一回の誘いを受けるか迷う場面を扱っています。