交際には関心がある。でも、また食事の支度や片付けを引き受ける人になるのは嫌だ。前の結婚で家事が自分に偏っていたなら、次の相手と会うことにも、ためらいがあるかもしれません。
家事を頼まれて迷ったときは、交際を始めるかどうかとは別に、そのお願いへの返事を選べます。作らないと伝える。一品だけなら作りたいと、買い物や後片付けの分担を相談する。まだ決められないので、誘いを保留する。
外で会う付き合いを望むなら、わざわざ家事を一緒にして相性を確かめる必要はありません。ここでは、食事への誘いに戸惑う相談例から、自分が引き受けたいことと、任されたくないことを具体的に考えます。
「簡単なものでいいよ」で、思い浮かんだ家事
以下は、前の結婚で家事の大半を担っていた60代の人を想定した相談例です。
気になる人から、「今度うちで何か作ってくれない? 簡単なものでいいよ」と連絡が来ました。会いたいのに、返事ができなくて。
「作って」と頼まれて、何が浮かんだ?
何を食べるか考えて、買って行って、最後は台所も片付ける自分です。前の結婚では、出かける日も帰ってからの夕飯が気になっていました。
食べている時間より、前後にすることが気になったんだね。今回は、料理をすること自体はどう思う?
得意なものを一緒に食べるのは楽しそうです。でも、最初から全部任されるなら行きたくないです。
何を作るか決める前に、買い物と片付けをどうするか聞いてみる方法がありそうだね。
相手が買い物や片付けまで頼むつもりなのかは、この連絡だけでは分かりません。「簡単なもので」という言葉も、献立を考える手間や、使った道具を洗う手間への返答にはなっていません。

気になるのが料理そのものではなく、その前後の仕事なら、「料理は得意?」という話から「食材は誰が用意する?」という話へ移せます。頼まれた一言から相手の性格を決めるのではなく、自分が引き受けない部分を伝えたあと、どんな相談ができるかを見ていきます。
作らない・一品だけ作る・まだ決めない
食事を作ってほしいと頼まれたとき、まず選ぶのは、自分が今回はどうしたいかです。以下は、相手へ返すための文例です。会いたい気持ちの有無も含め、自分に合うものを使ってください。
会いたいけれど、料理はしたくない
「一緒に食事はしたいけれど、作るのは引き受けないでおきたいです。外で会いませんか。」
会いたい気持ちは伝え、家で作る案は断る返事です。料理が得意でも、この選択はできます。外で会うことも望まないなら、代わりの誘いを用意せず、「今回は会うのを見送りたいです」で止められます。
一品だけなら、自分も作ってみたい
「一品なら作りたいです。買い物や片付けをどうするか、先に話しませんか。」
これは、分担を相談する入口です。この一言を送っただけでは、相手が買い物や片付けを引き受けたことにはなりません。次の節で、何を相手に任せたいのかを食事の流れに沿って考えます。
まだ、引き受けたいか分からない
「家で料理をするのは、まだ決められないです。今回の誘いは、いったん保留にさせてください。」
会いたいかどうかも揺れているなら、その場で外食へ切り替えなくてかまいません。相手には今回の予定が決まっていないと分かる返事をし、今は約束を増やさずにおきます。

一品を作るなら、残りの献立と片付けは誰が持つ?
「一品なら作りたい」と思った場合は、その一品を作るために、自分がどこまで動くことになるかを話します。作る品数が少なくても、食事全体の段取りを自分が考える案では、望んでいた分担と違うかもしれません。
たとえば、自分は卵焼きを作り、相手の家で昼食にする案。会話では、まず次のように切り出せます。
「卵焼きは作りたいな。ほかに何を食べるかと、買い物は任せてもいい?」
後片付けまで話すときの補足です。
「片付けは、使ったフライパンや流しまでお願いしたいです。食べたあとは、座って話せたらうれしいので。」
相談する中身を並べると、次のようになります。これは、相手へ伝えるための分担案であり、まだ二人で決めたことではありません。
| 食事の中で必要なこと | 相手に相談する分担案 |
|---|---|
| 献立を考える | 自分が作るのは卵焼き。ほかに何を食べるかは相手に考えてもらう。 |
| 食材をそろえる | 卵焼きの材料は最初に伝え、買い物は相手にお願いする。ほかの料理の材料や在庫の確認も任せたいと伝える。 |
| 当日、料理をする | 自分は卵焼きを担当し、ほかの料理は相手が用意できるものにする。 |
| 食後に片付ける | 食器に加え、使ったフライパンや流しの片付けも相手にお願いする。 |
材料の代金をどう負担するかも、買い物へ行く前に話せます。買いに行く役と支払う役を、黙って同じ人に決めないためです。

相手から「言ってくれたら何でも手伝うよ」と返ってきたら、「献立を考えて買うところから、任せてもいいということ?」と聞けます。自分が献立を決め、在庫を調べ、必要な指示を全部出す形を避けたいなら、その点まで伝えます。
一方、使いたい卵や調味料を最初に伝えることまで、すべて相手任せにする必要はありません。自分の希望を共有することと、食事全体の指示役になることを区別します。
頼んだだけでは、分担が決まったことにはなりません。 相手にも、引き受けられることと難しいことがあります。この案は作業量が同じという意味でもありません。二人とも納得できる形にならなければ、買ってきたものを食べる、外で会う、今回は家での食事をやめる、と案を変えられます。
食後や次の誘いで、また自分の仕事になりそうなら
分担の話をしたあとも、実際の場面で戸惑ったら、その場のお願いに返事をし直せます。ここからは、相手が「買い物と片付けは自分がする」と答え、本人もその分担で家での昼食を選んだ場合の、別の想定場面です。
食後に「洗い物、お願い」と言われたら
相手が食器を流しへ置き、「洗い物、お願い」と声をかけてきた。自分も反射的に立ち上がりかけたけれど、今日は片付けまで引き受けたくない。そんな場面なら、先に話した担当を短く確かめます。
「片付けは任せる話だったので、今日はお願いしたいです。」
そこで相手が洗い始めたら、横で手順を細かく指示せず、任せて座ることもできます。洗う順番が自分と違うことと、片付けそのものを自分に戻されることは、別の話です。

「得意なんだから、やってよ」と重ねて頼まれた場合は、得意かどうかの説明ではなく、「今日は洗い物は引き受けません」と返せます。相手に事情があり、今回は自分も手を貸したいと思うなら、その場で変える選択もあります。変更は、片方が当然のように引き受ける形ではなく、双方が了承できるかを確かめます。
次の週も「何を作ってくれる?」と聞かれたら
今度は、一度食事を作ったあと、次の誘いでも作る側として話が進む場合の文例です。
「この前は作りたくて作ったけれど、次は外で食べたいです。毎回、料理をするつもりではないです。」
たまには作りたい人の返事と、今後は作る役を引き受けたくない人の返事は、同じにしなくてよいのです。後者なら「これからは、食事を作る役は引き受けないでおきたいです」と、自分の希望に合わせます。
断っているのに同じ役を繰り返し求められるなら、言い方を工夫し続けるだけでなく、家で会うのをやめる、次の誘いを断る、交際を進めないという選択も考えられます。相手の本心を言い当てたり、自分の苦手意識を克服したと示したりする必要はありません。
分担に納得できても、交際はまだ迷うなら
相手が具体的な担当を引き受けてくれても、まだ家で会いたくない、交際は決められないという気持ちが残るなら、その返事をできます。分担への賛成を、交際への賛成に置き換えないことです。
「分担のことを考えてくれてありがとう。でも、家で会うのはまだ迷っています。もう少し、外で会う時間を重ねたいです。」
これは、外でなら会いたい場合の文例です。会うこと自体を休みたいときは、「今は、会う約束を少し休みたいです」と伝えられます。
家事以外にも、会う頻度や暮らしへの関わり方を話したくなったら、恋人・友人・パートナー、どう呼ぶ?先に話したい3つのことで、関係全体の希望を考えられます。
まだ具体的な相手がいない人は、将来の分担表を今から完成させなくてもよいでしょう。「食事や会話は楽しみたいけれど、日々の家事を担う関係は望まない」。まずは、自分が望んでいる暮らしとして、その一言を持っておけます。